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荒殿 保幸
日本原子力学会誌, 41(4), p.391 - 392, 1999/04
日本原子力学会40周年特集号への寄稿として、過去10年間のホットアトム化学分野の研究動向をまとめたものである。研究対象とされている核種はHからBkに至るまで非常に多いが、なかでも遷移金属,ハロゲンなどが最も良く研究されている。化合物としては、メタロセンとシクロデキストリンとの包接体の分子ロケットやフラーレンの研究が目新しい。ホットアトム化学の原子炉冷却水中挙動,宇宙化学,低温化学,ライフサイエンス分野等への展開もなされてきている。反応論の構築といった基礎分野から応用分野まで、幅広い発展の見られた10年間であった。
金子 義彦*
日本航空宇宙学会誌, 44(515), p.681 - 690, 1996/12
我が国の宇宙開発委員会は宇宙開発政策大綱を改訂し、地球観測及び宇宙環境利用の充実のほか月探査等を宇宙開発の目標とした。月面にエネルギー基地を構築したり、人を惑星に送るなど、これまでよりもう一段高度の発展を図ろうとすると動力の増大に対処するため、原子力の利用を本格的に取り入れる必要が生ずるのではなかろうか。米国自体の取り組みが問題であるが、クリントン政権の宇宙開発への原子力利用への消極姿勢を反映してSP-100計画が1993年に大幅に減速し、ロシヤとの協力によるトパーズIIの増力計画も不透明とされるにいたった。1989年のブッシュ大統領の有人火星探査計画の提案については、今日まで具体的な展開はない。宇宙原子力利用の現在の課題の一つは、二次大戦以降、蓄積してきた技術・経験をどうやって来世紀の科学者、技術者に伝承するかである。
羽賀 一男; 大坪 章; 片岡 一; 立邊 和明; 清野 裕; 水野 朋保; 渡辺 兼秀
PNC TN9420 92-013, 226 Pages, 1992/10
原子炉の熱エネルギーやラジオアイソトープの崩壊熱の利用技術の開発は、宇宙における発電源として旧ソ連、米国を中心約30年の歴史があり、一部は実用化されている。その中で原子炉用いるものでは、液体金属冷却炉が主流である。この分野における文献を、第8回宇宙原子動力システムに関するシンポジウム(米国、アルバカーキ、1991年)を中心に、国際会議稿、専門誌等から39編選び、要約それをそれぞれ作成した。本報告書の範囲は、システム全体、炉物理、冷却系、発電系、ロケット推進、耐高温材料、燃料、制御、安全性、試験計画、規制、全体計画、と多岐にわたり、これで世界における最近の全体的な開発動向が分かる。なお、本報告書は前報(PNC TN9420 91-007「宇宙動力炉に関する文献調査3」)の続編であり、文献番号はそれと通しである。
安田 秀志; 菱田 誠; 滝塚 貴和
原子力工業, 38(1), p.53 - 59, 1992/01
21世紀中葉における宇宙開発状態を予想することにより、必要なエネルギー源が示され、原子力に依存する以外に考えられないと説いた。宇宙では、地球周囲軌道での研究、開発、材料生産、通信等を挙げ、月面、火星基地での工業規模の熱及び電力並びに往還ロケット推進力を挙げ、さらに深宇宙探査用の推進・観測、試料採取を挙げ、原子力エネルギーの広範な利用形態を紹介した。宇宙活動における放射線被曝と遮蔽に関しても原子力技術が貢献できると記した。このほか月面から核融合燃料として有望なヘリウム3が回収して来ることになろうと述べた。
羽賀 一男; 大坪 章; 片岡 一; 立邊 和明; 清野 裕; 渡辺 兼秀; 野村 紀男
PNC TN9420 91-007, 152 Pages, 1991/04
原子炉の熱エネルギーやラジオアイソトープの崩壊熱の利用技術の開発は,宇宙における発電源としてソ連,米国を中心に約30年の歴史があり,一部は実用化されている。その中で原子炉を用いるものでは,液体金属冷却炉が主流である。この分野における文献を,第7回宇宙原子動力システムに関するシンポジウム(米国,アルバカーキ,1990年)を中心に,国際会議予稿集,専門誌等から55編選び,要約をそれぞれ作成した。本報告書の範囲は,システム全体,炉物理,遮蔽,冷却系,発電系,排熱系,燃料,耐高温材料,ロケット推進,制御,安全性,試験計画,と多岐にわたり,これで世界における最近の全体的な開発動向が分かる。
野村 紀男; 羽賀 一男; 大坪 章
PNC TN9410 91-100, 73 Pages, 1991/03
超小型の液体金属冷却高速炉を月面用エネルギー供給システムに利用すると、エネルギーの長期間安定供給が可能であるだけでなく、必要とされるエネルギーが多いほど太陽電池などの他のエネルギー供給システムと比べてコスト面での競争力が高い。研究中の月面可搬型炉SPECTRA-Lは、宇宙輸送機に搭載して月面までの輸送を行うが、その際の安全評価上の想定事象として、ここでは打ち上げ失敗による宇宙輸送機の爆発、及び墜落、それに係る原子炉の損傷、核燃料物質の飛散等を考えた。本書では、このような想定事象に対する安全性の考え方を整理するとともにその評価を実施した。その結果、以下に示す知見が得られた。1)宇宙輸送機の打ち上げ失敗により原子炉が海上もしくは地上へ落下しても未臨界性を担保することができる。2)核燃料物質の漏洩・飛散を想定した場合の環境への影響1・放射性雲による外部被ばくは、自然放射線によるそれを下回る。2・空気中の核燃料物質の吸入による内部被ばくは、想定される最大濃度でも一般公衆の線量当量限度を超えない。3・地上の表面密度については、晴天時、降雨時(降雨量:10mm/h、100mm/h 、1000mm/h) いずれも、線放射体による汚染物質を管理区域から搬出する際の基準0.4Bq/cm2 を下回る。なお、上記2)の評価で、核燃料物質が5%漏洩し、それがエアロゾル状になると仮定しているが、実際には核燃料物質はペレット(セラミック)化され、燃料ペレットは燃料ピン、冷却材(金属)、原子炉容器等によって多重に防護されており、落下による衝撃により核燃料物質が大気中へ放出されてもその全てが微小なエアロゾルになるわけでないため、保守側の評価値と考えている。